特定商取引に関する法律(連鎖販売取引関係のみを抜粋)

平成13年6月1日施行

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引並びに業務提供誘引販売取引をいう。以下同じ。)を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第二章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売
<省略>

第三章 連鎖販売取引
(定義)
第三十三条 この章並びに第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下同じ。)の販売(そのあっせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあっせんを含む。)の事業であって、販売の目的物たる物品(以下この章において「商品」という。)の再販売(販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。以下同じ。)、受託販売(販売の委託を受けて商品を販売することをいう。以下同じ。)若しくは販売のあっせんをする者又は同種役務の提供(その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいう。以下同じ。)若しくはその役務の提供のあっせんをする者を特定利益(その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあっせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあっせんをする他の者が提供する取引料その他の経済産業省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。以下この章において同じ。)を収受し得ることをもって誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあっせん又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあっせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「連鎖販売取引」という。)をするものをいう。

 2.この章並びに第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「統括者」とは、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付し、若しくは連鎖販売業に係る役務の提供について自己の商号その他特定の表示を使用させ、連鎖販売業に関する広告を自己の名において行い、連鎖販売取引に関する約款を定め、又は連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等一連の連鎖販売業を実質的に統括する者をいう。

 3.この章において「取引料」とは、取引料、加盟料、保証金その他いかなる名義をもってするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

(禁止行為)
第三十四条 統括者又は統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者(以下「勧誘者」という。)は、その連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあっせん又は役務の提供若しくはそのあっせんを店舗その他これに類似する設備(以下「店舗等」という。)によらないで行う個人との契約に限る。以下この条において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
一.商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項
二.当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三.当該契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項までの規定に関する事項を含む。)
四.その連鎖販売業に係る特定利益に関する事項
五.前各号に掲げるもののほか、その連鎖販売業に関する事項であって、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

 2.連鎖販売業を行う者(統括者又は勧誘者以外の者であって、連鎖販売業を行う者に限る。第三十七条及び第四十条を除き、以下同じ。)は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、前項各号の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

 3.統括者、勧誘者又は連鎖販売業を行う者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結させ、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

(連鎖販売取引についての広告)
第三十五条 統括者、勧誘者又は連鎖販売業を行う者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、経済産業省令で定めるところにより、当該広告に、その連鎖販売業に関する次の事項を表示しなければならない。
一.商品又は役務の種類
二.当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
三.その連鎖販売業に係る特定利益について広告をするときは、その計算の方法
四.前三号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

(誇大広告等の禁止)
第三十六条 統括者、勧誘者又は連鎖販売業を行う者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、その連鎖販売業に係る商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の内容、当該連鎖販売取引に伴う特定負担、当該連鎖販売業に係る特定利益その他の経済産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

(連鎖販売取引における書面の交付)
第三十七条 連鎖販売業を行う者(連鎖販売業を行う者以外の者がその連鎖販売業に係る連鎖販売取引に伴う特定負担についての契約を締結する者であるときは、その者)は、連鎖販売取引に伴う特定負担をしようとする者(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあっせん又は役務の提供若しくはそのあっせんを店舗等によらないで行う個人に限る。)とその特定負担についての契約を締結しようとするときは、その契約を締結するまでに、経済産業省令で定めるところにより、その連鎖販売業の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。

 2.連鎖販売業を行う者は、その連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結した場合において、その契約の相手方がその連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあっせん又は役務の提供若しくはそのあっせんを店舗等によらないで行う個人であるときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、次の事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその者に交付しなければならない。
一.商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項
二.商品の再販売、受託販売若しくは販売のあっせん又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあっせんについての条件に関する事項
三.当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
四.当該契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項までの規定に関する事項を含む。)
五.前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

(指示)
第三十八条 主務大臣は、統括者が第三十四条第一項若しくは第三項若しくは前三条の規定に違反し若しくは次に掲げる行為をした場合若しくは勧誘者が第三十四条第一項若しくは第三項、第三十五条若しくは第三十六条の規定に違反し若しくは第二号から第四号までに掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときはその統括者に対し、勧誘者が第三十四条第一項若しくは第三項若しくは前三条の規定に違反し若しくは次に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときはその勧誘者に対し、又は、連鎖販売業を行う者が第三十四条第二項若しくは第三項若しくは前三条の規定に違反し若しくは次に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときはその連鎖販売業を行う者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一.その連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約に基づく債務又はその解除によって生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
二.その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあっせん又は役務の提供若しくはそのあっせんを店舗等によらないで行う個人との契約に限る。次号において同じ。)の締結について勧誘をすること。
三.その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあっせんを店舗等によらないで行う個人との契約に限る。)を締結しない旨の意思を表示している者に対し、当該契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすること。
四.前三号に掲げるもののほか、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約に関する行為であって、連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益を害するおそれがあるものとして経済産業省令で定めるもの。

(連鎖販売取引の停止等)
第三十九条 主務大臣は、統括者が第三十四条第一項若しくは第三項若しくは第三十五条から第三十七条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合若しくは勧誘者が第三十四条第一項若しくは第三項、第三十五条若しくは第三十六条の規定に違反し若しくは前条第二号から第四号までに掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき若しくは統括者が同条の規定による指示に従わないときはその統括者に対し、勧誘者が第三十四条第一項若しくは第三項若しくは第三十五条から第三十七条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき若しくは勧誘者が同条の規定による指示に従わないときはその勧誘者に対し、又は連鎖販売業を行う者が第三十四条第二項若しくは第三項若しくは第三十五条から第三十七条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき若しくは連鎖販売業を行う者が同条の規定による指示に従わないときはその連鎖販売業を行う者に対し、一年以内の期間を限り、当該連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行い若しくは勧誘者に行わせることを停止し、又はその行う連鎖販売取引の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。

 2.主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。

(連鎖販売取引における契約の解除)
第四十条 連鎖販売業を行う者がその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結した場合におけるその契約の相手方(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはあっせん又は役務の提供若しくはそのあっせんを店舗等によらないで行う個人に限る。)は、第三十七条第二項の書面を受領した日(その契約に係る特定負担が再販売をする商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。以下この項において同じ。)の購入についてのものである場合において、その契約に基づき購入したその商品につき第十一条第一項の政令で定める基準に該当することとなる最初の引渡しを受けた日がその受領した日後であるときは、その引渡しを受けた日)から起算して二十日を経過したときを除き、書面によりその契約の解除を行うことができる。この場合において、その連鎖販売業を行う者は、その契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

 2.前項の契約の解除は、その契約の解除を行う旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。

 3.第一項の契約の解除があった場合において、その契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は、その連鎖販売業を行う者の負担とする。

 4.前三項の規定に反する特約でその契約の相手方に不利なものは、無効とする。

第四章 特定継続的役務提供
<省略>

第五章 業務提供誘引販売取引
<省略>

第六章 雑則
<省略>

第七章 罰則
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一.第六条、第二十一条、第三十四条、第四十四条又は第五十二条の規定に違反した者
二.第八条第一項、第十五条第一項、第二十三条第一項、第三十九第一項、第四十七条第一項又は第五十七条第一項の規定による命令に違反した者

第七十一条 第三十七条又は第五十五条の規定に違反して、書面を交付せず、又は同条に規定する事項が記載されていない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第七十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一.第四条、第五条、第十八条、第十九条又は第四十二条の規定に違反して、書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項が記載されていない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者
二.第七条、第十四条、第二十二条、第三十八条、第四十六条又は第五十六条の規定による指示に違反した者
三.第十二条、第三十六条、第四十三条又は第五十四条の規定に違反して、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものより著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をした者
四.第十三条又は第二十条の規定に違反して通知しなかった者
五.第三十五条又は第五十三条の規定に違反して表示しなかった者
六.第四十五条第一項の規定に違反して、同項に定める書類を備え置かず、又はこれに不正の記載をした者
七.第四十五条第二項の規定に違反して、正当な理由がないのに書類の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付を拒んだ者
八.第六十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第七十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一.第二十八条第二項又は第三十一条第二項の規定に違反して、その名称中に訪問販売協会会員又は通信販売協会会員という文字を用いた者
二.第六十六条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第七十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一.第七十条第二号 三億円以下の罰金刑
二.第七十条第一号又は前三条 各本条の罰金刑

第七十五条 第二十八条第一項又は第三十一条第一項の規定に違反して、その名称中に訪問販売協会又は通信販売協会という文字を用いた者は、十万円以下の過料に処する。


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